2010年10月25日
1000年前の肩肘張らない“生物多様性”・・・『和漢朗詠集』

この一年余り、自分がけっこう感動する文章に、かなり偏りがあることに気付いてきました。美しい自然描写に心が動かされます。それも視覚だけでなく聴覚、嗅覚、触覚、味覚を駆使した描写に、「そんなとらえ方ができるのか」と感動してきました。
この本は1000年くらい前に編纂された本ということです。春夏秋冬の「自然の美をあまねく歌い、男女の愛怨の情を綴り、千年経た今日なお人々の心に共感をいざなう。」と書いてありました。はじめは春、夏、秋、冬の順で漢文や和歌が並べられ、その後は風、雲、晴、暁、松、竹、草、鶴、猿、管弦、酒、山、山水、漁父、禁中、古京、故宮、山家、田家、隣家、山寺、仏事、僧、閑居、眺望、餞別、行旅、帝王、親王、将軍、王昭君、妓女、遊女、老人、交友、懐旧、述懐、慶賀、祝、恋、無常、白などのカテゴリーで漢文や和歌が並べられています。
目次を追うだけで何となく1000年前の人々の思いや気持ちの扉が開いてきそうな気分になります。だれがこうしたという歴史だけでなく、当時の人々の思いや気持ちが伝わってくる無形のお宝を文庫本で相続できるのです。何とすごいことか。
藤原公任という人が、娘が結婚するとき婿への引出物として編纂した本とされています。スーパー父親です。
昨日は途中眠くなりましたが、春の段、約100頁を読みました。二、三度繰り返し読まないと、頭に入ってきませんが、自然と鳥獣を友とする先人の素晴らしい日々に共感してしまいます。昨日だけで200くらいの歌や漢文を読みましたが、紀貫之が好きかなと少し思いましたので、次は同じ講談社学術文庫の『紀 貫之』を買うかもしれません。
“生物多様性”とか“自然環境を大事に”、“エコ”という言葉よりも、肩肘を張らない日々の日本人の自然と共生した生き方の素晴らしさを感じてしまう本でもあります。
まえがきに書いてあった和歌と漢文だけでも紹介します。
あさみどり 春たつ空に うぐひすの はつこゑまたぬ 人はあらじな
(立春のころ、萌黄いろに明けゆく空のもと、うぐいすがもう来てなくころよ、と心待ちにしない人はないでしょう。)
おもひかね 妹(いも)がりゆけば 冬の夜の 川風寒(さむ)み 千鳥なくなり
(君への恋しい想いにたえかねて、恋人のともに行けば、川のほとりを夜風が寒く、千鳥の声も身にしみる。)
春夜
燭(ともしび)を背(そむ)けては 共に憐れむ深夜の月
花を踏んでは 同じく惜しむ少年の春
(燭台の灯を壁の方にむけて夜更けの月を楽しもうではないか。花が散り敷く青草の上を踏んで遊ぼうよ、青春の日はまたたく間に過ぎ去ろうものを。)
Posted by わくわくなひと at
17:18
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2010年10月25日
“和三盆”を知らずして甘党は語れない!

先日、父に一袋渡したところ、「何だろう」という感じで最初は積極的に食べようとしませんでした。「まあ!食べない」と言って1個渡しました。すると、「おっ!」と言ってすかさず2個目、しばらくして3個目を食べてしまいました。父曰く「またこうて来い!」。
たまたま訪ねてきた姪に「和三盆クッキー」を1個渡すと、「うまーい。どこで売っとると?」。「熊本市内のTSUTAYAには置いてある」と伝えました。「今度こうてみる」という感想。もの凄い商品力です。

父などは若い頃、辛党でした。しかし、極上の甘味は党派の別なく魅了してしまいます。さすが京の老舗が重宝してきた甘味。その威力に驚いてしまいました。和三盆の威力だけでなく、それとクッキーというこれまでにない取り合わせを作り出したライン工房さんに敬意を払いたいと思います。
一袋157円。たぶん熊本市内のほとんどのTSUTAYAさんのレジ近くに置いてあると思います。
Posted by わくわくなひと at
12:13
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