2012年03月08日
茂木健一郎講演会メモ(2012年3月7日、於:アクロス福岡)
(株)NCBリサーチ&コンサルティング(西日本シティ銀行グループ)主催。講師は脳科学者の茂木健一郎。講演テーマは「脳と決断力 ~不確実な時代を生き抜く術~」。
以下は忠実な聞きおこしではなく、個人的に読みとった内容。
■ソニーの製品と東京ガラパゴス大学の入試の共通性
ここ20年の日本経済の停滞はインターネットの普及とグローバル化の進展が大きな要因。つまり、これらの要因が進展したことから、ゲーム(経済)のルールが変わり、それ以前のルールに適合し発展してきた日本社会が対応できなくなっている。
先日の朝日新聞の記事で東大の総長が「入試の点数が1点でも高い者を選ぶことは果たして公正か?」と本音を漏らしていた。皆さん(経営者がほとんど)の会社の入社試験では、ペーパーテストだけでなく総合的な人間力を基準にして採用の適否を決定していることと思う。実はハーバード大学も皆さんと同様であり、ペーパーテストは比較的簡単であり、卒業生による面接で合否を決定している。そもそも人が人を選ぶこと自体が公正ではないが、ハーバードでは面接をして選んだ人が責任を負うことになっている。
私はソニーの携帯電話を持っており、実にいいものだと思うが、ネットに結びつかないと付加価値は出てこない。ipadはネットに結びついた仕組みであり、ソニーの製品はいくら優秀でもツールの一つに過ぎない。
今のソニーの製品づくりとセンター試験で1点でも高い点数をとる優秀さには共通性があると思う。
友人の市川海老蔵は、いろいろ問題はあるが、すごい人間だと思っている。学校の教科書を1ページも開いたことがないというが、3日間で歌舞伎のせりふを完璧に覚えてしまう能力を持っている。海老蔵は東大(東京ガラパゴス大学)には入れないが、ハーバードなら入れるかも知れない。
■これから通用するのは国、東大、九大ではなく私塾だ!
日本人は偶有性(不確実性)を忘れてしまっている。今はネットの普及やグローバル化の進展で何が正解か分からなくなっている。正解が分からなくても何かを行うのが経営だ。Googleのユーチューブは法律的にみるとグレーゾーンだが、結果として世の中がよくなるのであればよしとする考えで行動し、世界の人々から受け入れられた。松任谷由実の卒業写真などの歌詞は彼女が経験したことを書いたのではなく、想像の産物であると、本人から聞いたことがある。「ガラス瓶の中を貨物船が通る」など、ユーミンは脳の中のさまざまことを組み合わせて想像(創造)しているのであり、世界で一人しかない能力を使っている。スティーブ・ジョブズもそうだ。
譜面が読め絶対音感でピアノがうまく弾けるという能力は芸術大学に入るために必要だが、こういった能力のある人たちのすべてが、音楽を自分の脳の中から生み出すことはできない。
新しいものをつくっていく能力は東大生(センター試験で1点でも高い点数をとる能力のある人たち)にはない。正解が何か分からない中で、自分の個性を生かして決断を積み重ねていくことができる人たちが、新しいものを創っているのだ。自分の体をはって決断を積み重ねていかないと、ぜったいに脳は鍛えられない。これは経営者の人たちなら、ふだん行っていることでもある。
これからは国とか東大、九大に期待もできないし、頼ろうとしても頼れない。それに代わるものとして、吉田松陰の松下村塾のような心の共同体のような私塾が必要だ。インターネットやグローバル化の時代には私塾が最も対応できると思っている。
以下は忠実な聞きおこしではなく、個人的に読みとった内容。
■ソニーの製品と東京ガラパゴス大学の入試の共通性
ここ20年の日本経済の停滞はインターネットの普及とグローバル化の進展が大きな要因。つまり、これらの要因が進展したことから、ゲーム(経済)のルールが変わり、それ以前のルールに適合し発展してきた日本社会が対応できなくなっている。
先日の朝日新聞の記事で東大の総長が「入試の点数が1点でも高い者を選ぶことは果たして公正か?」と本音を漏らしていた。皆さん(経営者がほとんど)の会社の入社試験では、ペーパーテストだけでなく総合的な人間力を基準にして採用の適否を決定していることと思う。実はハーバード大学も皆さんと同様であり、ペーパーテストは比較的簡単であり、卒業生による面接で合否を決定している。そもそも人が人を選ぶこと自体が公正ではないが、ハーバードでは面接をして選んだ人が責任を負うことになっている。
私はソニーの携帯電話を持っており、実にいいものだと思うが、ネットに結びつかないと付加価値は出てこない。ipadはネットに結びついた仕組みであり、ソニーの製品はいくら優秀でもツールの一つに過ぎない。
今のソニーの製品づくりとセンター試験で1点でも高い点数をとる優秀さには共通性があると思う。
友人の市川海老蔵は、いろいろ問題はあるが、すごい人間だと思っている。学校の教科書を1ページも開いたことがないというが、3日間で歌舞伎のせりふを完璧に覚えてしまう能力を持っている。海老蔵は東大(東京ガラパゴス大学)には入れないが、ハーバードなら入れるかも知れない。
■これから通用するのは国、東大、九大ではなく私塾だ!
日本人は偶有性(不確実性)を忘れてしまっている。今はネットの普及やグローバル化の進展で何が正解か分からなくなっている。正解が分からなくても何かを行うのが経営だ。Googleのユーチューブは法律的にみるとグレーゾーンだが、結果として世の中がよくなるのであればよしとする考えで行動し、世界の人々から受け入れられた。松任谷由実の卒業写真などの歌詞は彼女が経験したことを書いたのではなく、想像の産物であると、本人から聞いたことがある。「ガラス瓶の中を貨物船が通る」など、ユーミンは脳の中のさまざまことを組み合わせて想像(創造)しているのであり、世界で一人しかない能力を使っている。スティーブ・ジョブズもそうだ。
譜面が読め絶対音感でピアノがうまく弾けるという能力は芸術大学に入るために必要だが、こういった能力のある人たちのすべてが、音楽を自分の脳の中から生み出すことはできない。
新しいものをつくっていく能力は東大生(センター試験で1点でも高い点数をとる能力のある人たち)にはない。正解が何か分からない中で、自分の個性を生かして決断を積み重ねていくことができる人たちが、新しいものを創っているのだ。自分の体をはって決断を積み重ねていかないと、ぜったいに脳は鍛えられない。これは経営者の人たちなら、ふだん行っていることでもある。
これからは国とか東大、九大に期待もできないし、頼ろうとしても頼れない。それに代わるものとして、吉田松陰の松下村塾のような心の共同体のような私塾が必要だ。インターネットやグローバル化の時代には私塾が最も対応できると思っている。
Posted by わくわくなひと at 21:02│Comments(0)