2012年03月04日

学校では教えてもらえない内容-阿部秀司『じゃ、やってみれば』

阿部秀司『じゃ、やってみれば “感動という商品”を創り続ける男の言葉36』日本実業出版社(2012年1月20日初版)。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のプロデューサーの本である。こういう映画をつくった人がどんな人か知りたくて読んでみた。
一見して、読むのにさほど時間はかからないと思ったが、思った以上に時間がかかった。広告代理店のサラリーマンが“無”から映画制作会社をつくり、次々とヒット作を生み出してきた軌跡を書き留めた内容だけに、学校では勉強できない経験しないと分からないことがたくさん書いてあった。いくつか書き留めておきたい。

①運は必然
 運とは単に何もしないところにやってくるものではなく、ふだんから問題意識を持って、強い意志とともに素早く行動した結果、チャンスという目に見えないものが、ある日突然降り注いでくる-そんな感覚を持っている。つまり、「運」とは、偶然ではなく、その人の努力の積み重ねによってもたらされる必然の産物なのだ。
※確かに人の成功話を「運」とか「偶然」とかで片付けてしまうと、何も得るところはないと思う。「運」=「必然」と認識すると、どうしてこの人はこんなことができたか?注意深く学習することができるようになる。逆に「あれは運、あれは偶然」と、人の話を評価する人は、たいした人物ではないと思ってしまう。

②マーケットがなければ自分でつくる
 新しいことを試みようとするときには正解なんてない。でもそこで一番大切になってくるのが、自分の中にだけは“正解”と言えるものを持っているということ。
 僕はふだん、ちょっとでも自信がないとからっきし弱くなる。自分の中に確信のような“魂”がないと、プレゼンや人を説得する場面でも、すぐに理論に走ってしまう。でも理論だけで何かを伝えようとすると、そういうものは、すぐぐちゃぐちゃになって、迫力がなくなるものだ。
 「・・・マーケットがないなら、そこに自分でマーケットを創ればいいじゃないか」
※ものづくりをしていると評論家のような人達から、「マーケットがあるんですか?」「ターゲットは誰ですか?」とよく聞かれる。世の中は、これまでにない商品が登場して新たなマーケットをつくったのだから、これまでにない商品にはマーケットは存在しないというのが正解だと思う。ものづくりで苦労している人は、そんな野暮な質問はしないと思う。

③「わからない」と言える自分でいたい
 ・・・いつでもどこでも、少しでもわからないことがあれば「わからない」と言える自分でいたいし、どんな立場でもなんでも素直に人に聞いて指示を仰げるオープンな気持ちでありたい。・・・
 僕は「いつも新しいものを作る」という気持ちで映画を作っているが、新しいものというのは、視点を変え、考え方を変え、そのドキドキ感と新鮮さから生まれるものだ。
※確かに「わからない」という問いが、自分達があきらめていること、難しいと思っていることが解決してしまう突破口になることがある。

④判断を正しいものにしていく力が重要
 ・・・「判断」というのは表か裏かという結果にすぎないこと。でも、それだけで人生が変わるということ。
 そして、何よりも大切なのは、・・・判断の正しさ以上に、その判断を正しいものにしていく力のほうが重要なのだと思う。
※正しい判断とは何かと考えるよりも、こう突き進むと決めたら、その決断が後から考えてよかったと言えるまで努力しないといけない。評論している暇はない。それが実戦だと思う。

⑤結果がすべて
 ・・・人間なんて結果でしか判断してもらえない。結果がすべて。結果がよければ、そこに至るまでのプロセスについては、後からどうとでも言える。・・・成功したら褒められ、失敗すれば怒られる-単純な話だ。
 だから、「勝てば官軍」。何でもやるからには成功しなければいけないと僕は思っている。僕が好きな話で、石田三成が関ヶ原で戦う前に、「正義は必ず勝つのです」と言ったら、上杉景勝が「いや、勝ち負けが正義を決めるんですよ」と。「そうだよなあ。勝ったから、正義になるんだよなあ」と至極納得した。
※人の評価とは、そんなものだと思う。オセロゲームのように、最後が勝ちであれば、間の黒の駒がすべて白にひっくり返ってしまう。勝ちにもっていくための努力が何よりも大切だ。




Posted by わくわくなひと at 21:18│Comments(0)
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