2010年12月09日
暮らしと“陰影”について考えたいと思います!

街中での用事を済ませ、一服所で、ふとこんな考えが浮かんできました。
「今、一番読みたい本は何だろう?」。
「松岡正剛や河野多惠子が激賞していた谷崎潤一郎、それも陰翳礼讃を読んでみたい」。こんな自分の気持ちを確認することができました。
中公文庫だから、書店を選ばない。どこにでもある。しかし、昔の本なので大きな書店の方が確実だと思いました。しかし、谷崎潤一郎の本はたくさん置いてあるのに、『陰翳礼讃』はありません。
それで、「これでだめならジュンク堂」と思い、中規模の書店を訪ねました。新潮文庫とか角川文庫のコーナーは広くとってありますが、中公文庫のコーナーが分かりません。書店の人に尋ねると、「そこです!」。私の目の前にこぢんまりとした中公文庫のコーナーがありました。
あまり期待しないで、“谷崎”を探しました。すると、一冊だけ、しかも『陰翳礼讃』中公文庫(2010年6月25日改版19刷、1975年10月10日初版/「陰翳礼讃」は「経済往来」昭和8年12月号と同9年1月号が初出)だけが置いてありました。“セレンディピティ?”。ちょうど私が買いに来るのを待っていたように、置いてありました。
“陰翳”。最近は、こんなことを感じることが少なくなってきています。夜の静寂(しじま)も蛍光灯やLEDなどで明々と照らされて、風情とか色香とかを感じにくくなっています。効率よく天井から明々と照らすのは昭和40年代くらいからでしょうか。文化を味わうなら間接照明がいいと思います。
もう一年以上前になりますか。九州国立博物館で阿修羅展がありました。たぶん、この展示は“陰翳”を相当考えてありました。大昔、奈良の興福寺で見た阿修羅にはさほど感動しませんでしたが、太宰府の阿修羅を見て鳥肌が立ってしまいました。確か藤原時代の興福寺がそうであったろう、金堂の陰影を再現するように心がけたと説明してあったような記憶があります。
谷崎の“陰翳”をこれから読んでいきます。日々の暮らしと陰影について考えていく、よいきっかけになりそうです。そう言えば、アバクロ福岡の店内も薄暗くしてあり、陰影というのを意識しているような感じです。
Posted by わくわくなひと at
19:32
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