2011年02月23日

ドラッカー読むだけで会社は良くなるの?

 ドラッカー読むだけで会社は良くなるの?やっぱり出ましたね。深田和範『マネジメント信仰が会社を滅ぼす』新潮新書(2010年12月20日第1刷)。
 “もしドラ”がたくさん売れて、経営に関係ない人たちまでドラッカーが読まれた一年でした。当然、副作用もありそうなので、こんな本は必要です。ドラッカーを好んで読んでいる人も余計なお世話だけど読んだ方がいいと思いました。いきなり、「こんな本読めるか」と思った方は、この本が言う「マネジメント信仰」の信者かも知れないと思ったりもしました。
 そういう私は、けっこうドラッカーを読んでますし、ドラッカーはすごいと思います。自分にはちょっと難しくて、どうやったら頭で理解するのではなく腹で理解することができるかで悩んでいます。つまり、実行、実践したいと思いますが、会社は自分一人ではないし生ものですので、さてどうするか。「そう簡単ではないぞ」と思ってしまうのであります。
 この本の「まえがき」に、『もしドラ』を読んで「すぐに実践できる」と思い込んで、書いてあることを真似している。そんな人が急激に増えているというように書いてありました。私は少数派かも知れませんけど、『もしドラ』読んで、「確かにそうだが、実行するのは並大抵のことじゃない」と即刻思いました。会社経営を経験していると、腹の底から分かるじゃないかと思いますが、ドラッカーが書いていることを実践できることは凄いことです。というよりも、小学生にも笑われるような当たり前のことができたら、凄い会社になれると、今では思ってます。
 ドラッカーが書いていることではないでしょうが、「社員にトイレ掃除を徹底的にやらせて倒産した会社」があると書いてありました。これに私は、ぴったり該当しましたが、まだ皆様のおかげで生き延びております。ただ、社員にやらせたわけではなく、トイレクイックルを即刻買ってきて自分でトイレ掃除をしました。きれいなトイレは気分がいいですね。少なくともマイナス思考にはなりませんので、長く続けていると悪いことは少なくなりますよ。断言します。
 ただ、この本で深田さんが言いたかったことは、分かります。共鳴する部分が相当ありました。
三言で言うなら、生身の仕事をしている者、経営している者、そして真剣に組織を預かっている者は、「単なる評論家や学者になるな!」「そんなことをしていたら会社潰れるよ」「理屈を言う前に稼ぎなさい」ということだと思います。
 構造的な不況が長く続いているので、みんな自信を失い、何かの指南にすがりつきたい。そんな時代が招いた『もしドラ』ブームの一面もあったことと思います。
 「ドラッカーはこう言っている。だから、自分の言っていることは正しい。」。そんな議論もよく見かけるようになりました。こんな議論を聞いて、数十年前の「マルクスはこう言っている。だから、こうなんだ」という記憶が蘇ってきました。
 それぞれのドラッカーがあっていい。ドラッカーをいっぱい読んでいるから、その人の考えや行動が正しいとか偉いとか、権威があるとは言えない。なぜなら、たとえ何度読んだとしても、経験や真剣味がないと腹の底から理解できないことがドラッカーの言葉の中にはたくさんあるからです。少なくとも、評論家や学者のためにドラッカーは書いていないと思います。日々、真剣勝負している人に向けて書いていると思います。
 あなたが属する組織や集まりは「マネジメント信仰」症状にどこまで冒されているか?この本からピックアップしてチェックリストを一つだけ作りました。
 あなたの周りに、こんな組織や集まりがありませんか?

~意見はあっても意志はなし症状~
□経営者や管理職が、「あるべき論」や「一般論」を言うばかりで意志を示さない。
□意志を示すべき人が議論を本質から外そうとする。細かいことや表現方法にこだわり、議論を集約して、次の段階に移ろうという動きが見えない。あわよくば、うやむやにしようという意図すら感じられることがある。
□他社事例やマネジメントの本に書いてあったことによって物事を決めようとする。「他社でもこうしているから」「一般的にこういうものだから」(「ドラッカーの本にこう書いてあるから」)という理由がまかり通るようになる。
□体系的な理論や手法を重んじ、「経験、勘、度胸」を馬鹿にする。「理論的、客観的」であることが正しく、「経験論や主観に基づく判断」は誤ったものと決め付けている。
□「~戦略」「~改革」等の用語を好んで使う。「具体的にどうなるか」よりも、関係者に「どのように受け止められるか」「どうすればスマートな表現になるか」ということばかり気にする。
□同じようなテーマのプロジェクトが数年おきに立ち上がる。前回のプロジェクトが中途半端な状態で終わっていても、その反省もないまま次のプロジェクトが始まる。
□消去法で物事を判断する。いくつかの選択肢をあげて最もリスクの少ないものを選ぼうとする。その結果、ありきたりな案しか選ぶことができなくなっている。




Posted by わくわくなひと at 18:40│Comments(6)
この記事へのコメント
サンデル教授みたいでいいですね。

何が正しいのかわからなくなる…こういう本の読み方好きです。

この本も読んでみたいな。
Posted by あや3あや3 at 2011年02月23日 21:39
でも基本的にマイナス思考のような本なので、少し行き過ぎたかな?と思う時に読む本だと思います。飲み過ぎた朝にウコンとか、そんなもんでは。いつも右も見て左見て冷静沈着な安全運転は面白くない。一つのことにゾッコンして熱にうかされる日々が面白いと思います。後で少し馬鹿だったなと、自分で自分を笑う。
Posted by わくわくなひとわくわくなひと at 2011年02月23日 21:59
ウコン感覚ですね。妙に納得(ё_ё)

わくわく様は安全運転な人のようにお見受けしましたが、かなり情熱的なんですね…
Posted by あや3あや3 at 2011年02月24日 09:27
安全運転だったら起業してません。お気楽サラリーマンではね。人生このまま終わりたくないという、それはそれはおどろしい衝動。でも、100人中95人くらいからは、ふわーとか、のんびりとか、癒しの人とか、お強い人とか言われます。
Posted by わくわくなひとわくわくなひと at 2011年02月24日 13:05
お強い人・・・って
Posted by あや3あや3 at 2011年02月24日 17:54
ばれたか。さぁっと読んでたら目に止まらないと思って、いたずらで入れてみました。熟読してくれて、ありがとう!
Posted by わくわくなひとわくわくなひと at 2011年02月24日 18:43
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