2010年12月15日

日本のゲーム産業は大丈夫か?NHKスペシャルを見て

 日本のゲーム産業は大丈夫か?NHKスペシャルを見て12日(日)にNHKスペシャルで「世界ゲーム革命」が放映されていました。内容はゲーム市場での日本のシェアが低下していること、カナダやアメリカなどでのゲーム産業が伸びてきていること、スピルバーグなどハリウッドとゲーム産業が融合を始めていること、日本では福岡のレベルファイブとジブリが手を組んで反撃に出ようとしていることなどでした。
 すさまじい世界を垣間見た気分でしたが、一つ非常に気になることがありました。それはレベルファイブをはじめ日本のゲーム産業が労働集約型というか、一人の天才ややり手を中心に仕事が進んでおり、徹夜や残業によって何とか太刀打ちしていこうとしていることでした。福岡だけでなく世界的に有名なレベルファイブの日野あきひろ社長の疲れた姿が特に印象に残りました(世界を相手に“やるぞ”という気持ちを伝える内容でしたが・・・)。
 アメリカやカナダでも一部の人はそうしているのかも知れませんが、ゲームづくりの分業が非常に進んでいることに大きな違いを感じました。ドラッカー『マネジメント 課題、責任、実践 上』で書いているように、“個々の作業を可能なかぎり単純に設計”するという思想、つまり、アメリカやカナダでは凡人でもクリエイティブな作業に参画できる仕組みが着々と作られていることをNHKのテレビで実感した次第です。
 別の本で読みましたが、スターウォーズ以来のハリウッド映画づくりでのシナリオは、完璧な分業とグループワークで進められていると書いてありました。それに比べ日本の漫画や映画は大先生が中心となりその弟子が徹夜しながら作られているそうです。漫画や映画、ゲーム分野だけでなく、日本の多くの知識労働者は少なからず似たような環境に置かれているのではないでしょうか。
 日本のクリエーターの多くは、残業や徹夜をしてすごい作品をつくっていくことに誇りを感じていることと思います。こういった天才や努力家の仕事のプロセスを分析し、凡人でも参画できるような“無味乾燥な”仕組みをつくっていくことに対して抵抗を感じる文化が日本にはあるのでしょうか?。
 第2次世界大戦に関心のある方ならご存知だと思いますが、今度のNHKスペシャルを見て、零戦とグラマンの違い、日本の熟練設計者や熟練搭乗員と、アメリカの凡人設計者と凡人搭乗員の違いが頭に浮かんできました。ひょっとして、日本人は戦略的なプロジェクトマネジメントなどを設計し実践していくことに向いていないのか、それとも別の要因があるのか・・・そんなことが気になるようになりました。
 今後、ゲーム産業をはじめとした日本の知識産業は、世界を競争相手に天才や努力家を次々と消耗させていき、シェアを落としていくことになるのでしょうか。
 なお、福岡県は福岡市を中心にゲーム産業が集積しており、「福岡コンテンツ産業振興会」というリーディング産業育成プロジェクトが組織されています。今月の20日には博多駅近くに「福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センター」がオープンします。福岡には多くの凡人が参画できるようなプロジェクトが芽生えていくことを期待しています。




Posted by わくわくなひと at 15:17│Comments(0)
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