2010年11月21日
書棚の“ざわめき”、豊穣の知の世界への誘い 丸善・本店
この一年ほど思い続け、やっと行動した。
丸善・丸の内本店。東京駅丸の内北口から歩いて5分のところにある本屋を訪ねた。
一歩店内へ入る。1階はビジネス書コーナーだが、ものすごい胸騒ぎがする。1階から4階まで何十万、いや何百万冊?が並んでいる。
図書館と違う。本や書店が自分を歓迎していることが伝わってくる。歩くだけで、いろんなメッセージが目に入ってくる。それは一行、一冊に込められたたくさんの人の想いであり、それが胸騒ぎにつながっているような気がしてきた。
“一行の深さ、一冊の重さ”。何気なく目に入ったわずか数行に衝撃を覚えた人や、自分の歩むべき道をたった数頁から教わった人もいるはずです。作者や編集者、たくさんの人の想いがこめられているからこそ、「本」は、私たちの心を時には静かに、時には激しく動かしていくのです。それは、絵画や音楽などの芸術品と同じように、私たちに本物の感動を与えてくれます。つまり、「本」は、『ことばの芸術』なのです。
インターネットや電子書籍の登場で本の危機がささやかれる中、そんなメッセージが伝わってくる。
ベストセラーや話題になっている本は、もちろん置いてある。しかし、それだけではない。「人生について考えてみたくなったとき」「挫折を味わったとき」「座右の書籍がない人」など、いろんな人の想いに合わせ、こんな本はどうかと古典も含めて書棚に並べてある。
極めつきは4階の「丸松本舗」。丸善主宰。読書の鬼神、松岡正剛編集の書店内書店である。世界の知を編集的に網羅した『松岡正剛 千夜千冊』全集や松岡の思考に沿って約50,000冊の本が“ざわめく”という。ただ並べられているのではない。“ざわめく”という言葉がぴったりの雰囲気である。
人はここまで本を読めるのかと圧倒される。それに較べ自分はどのくらい読んできたかと、つい振り返ってしまう。年平均100冊として、30年として、わずかに3,000冊。後2,000冊読めるかどうか。もっと読みたい、もっといろんなことを知りたいと、頭を垂れてしまうほどの“気”を感じてしまう。
九州に本を持って帰るのは重たいと思い、財布のひもはきつくしていた。だが、各界の本好きたちの書棚の前で、そんな思いはもろく崩れ去る。購入した書籍は、以下の通り。
天神から丸善がなくなって数ヶ月。来年の3月には博多駅に丸善がオープンする。丸の内本店ほどではないにしても、“ざわめき”のある書棚を福岡でも実現してもらいたい。
(福原義春の書棚より)
■資生堂名誉会長・福原義春『だから人は本を読む』東洋経済新報社(2009年9月24日)
・人が本を読まなくなったのだという。それでいいのだろうかと怪しむ。何やかやと忙しくて時間がないからだともいう。そんなに忙しければ、朝起きた時に顔を洗わなければいいじゃないか。・・・それは困るというなら、どうして本を読むことだけをやめてしまうのか。
■山折哲雄『日本人の情感はどこからくるのか』草思社(2003年5月9日第1刷)
・心の奥であなたを揺さぶるものの正体とは?
(翻訳家・鴻巣友季子の書棚より)
■河野多惠子『小説の秘密をめぐる十二章』文春文庫(2005年10月10日第1刷)
・谷崎、芥川、吉行などの作品をまったく新しい視点から読み解いた目からウロコの文学論。
(松丸本舗・入り口)
■志村ふくみ『一色一生』講談社文芸文庫(2010年10月1日第23刷、1994年1月10日初版)
・染織家志村ふくみは、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。
丸善・丸の内本店。東京駅丸の内北口から歩いて5分のところにある本屋を訪ねた。
一歩店内へ入る。1階はビジネス書コーナーだが、ものすごい胸騒ぎがする。1階から4階まで何十万、いや何百万冊?が並んでいる。
図書館と違う。本や書店が自分を歓迎していることが伝わってくる。歩くだけで、いろんなメッセージが目に入ってくる。それは一行、一冊に込められたたくさんの人の想いであり、それが胸騒ぎにつながっているような気がしてきた。
“一行の深さ、一冊の重さ”。何気なく目に入ったわずか数行に衝撃を覚えた人や、自分の歩むべき道をたった数頁から教わった人もいるはずです。作者や編集者、たくさんの人の想いがこめられているからこそ、「本」は、私たちの心を時には静かに、時には激しく動かしていくのです。それは、絵画や音楽などの芸術品と同じように、私たちに本物の感動を与えてくれます。つまり、「本」は、『ことばの芸術』なのです。
インターネットや電子書籍の登場で本の危機がささやかれる中、そんなメッセージが伝わってくる。
ベストセラーや話題になっている本は、もちろん置いてある。しかし、それだけではない。「人生について考えてみたくなったとき」「挫折を味わったとき」「座右の書籍がない人」など、いろんな人の想いに合わせ、こんな本はどうかと古典も含めて書棚に並べてある。
極めつきは4階の「丸松本舗」。丸善主宰。読書の鬼神、松岡正剛編集の書店内書店である。世界の知を編集的に網羅した『松岡正剛 千夜千冊』全集や松岡の思考に沿って約50,000冊の本が“ざわめく”という。ただ並べられているのではない。“ざわめく”という言葉がぴったりの雰囲気である。
人はここまで本を読めるのかと圧倒される。それに較べ自分はどのくらい読んできたかと、つい振り返ってしまう。年平均100冊として、30年として、わずかに3,000冊。後2,000冊読めるかどうか。もっと読みたい、もっといろんなことを知りたいと、頭を垂れてしまうほどの“気”を感じてしまう。
九州に本を持って帰るのは重たいと思い、財布のひもはきつくしていた。だが、各界の本好きたちの書棚の前で、そんな思いはもろく崩れ去る。購入した書籍は、以下の通り。
天神から丸善がなくなって数ヶ月。来年の3月には博多駅に丸善がオープンする。丸の内本店ほどではないにしても、“ざわめき”のある書棚を福岡でも実現してもらいたい。
(福原義春の書棚より)
■資生堂名誉会長・福原義春『だから人は本を読む』東洋経済新報社(2009年9月24日)
・人が本を読まなくなったのだという。それでいいのだろうかと怪しむ。何やかやと忙しくて時間がないからだともいう。そんなに忙しければ、朝起きた時に顔を洗わなければいいじゃないか。・・・それは困るというなら、どうして本を読むことだけをやめてしまうのか。
■山折哲雄『日本人の情感はどこからくるのか』草思社(2003年5月9日第1刷)
・心の奥であなたを揺さぶるものの正体とは?
(翻訳家・鴻巣友季子の書棚より)
■河野多惠子『小説の秘密をめぐる十二章』文春文庫(2005年10月10日第1刷)
・谷崎、芥川、吉行などの作品をまったく新しい視点から読み解いた目からウロコの文学論。
(松丸本舗・入り口)
■志村ふくみ『一色一生』講談社文芸文庫(2010年10月1日第23刷、1994年1月10日初版)
・染織家志村ふくみは、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。
Posted by わくわくなひと at 18:21│Comments(0)
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