2010年11月13日
『雨のち晴れて、山日和』!これも大人の時間

今、読んでいるのは、小池真理子『玉虫と十一の掌篇小説』と伊藤整『変容』。どちらも女と男の心理と行動を描いた内容であり、少し心の休日というか、違った刺激が欲しくなったのかも知れない。
著者は鹿児島生まれのイラストレーター、アート・ディレクター。文章といっしょにペン画のような落ち着いた絵がちりばめられている。文章表現や感性も豊かのようで、こんな文章から始まっている。
前夜まで降っていた雨はすっかり上がり、ポカポカとした春の日射しは東海道本線をすっぽり包みこみ、車窓から見える相模湾はキラキラ光っている。列車の揺れと音までがポカポカ感じられ、子供の頃の遠足の日の気分を思い出す。小さなリュックを背負って車窓から見た風景は、どこか遠い国へ行くような希望と不安に満ちていた。今でも知らない場所へ向かう時、そんな気持ちに帰ってしまう。

かつては休日と言うと、知り合いのカメラマンと二人で野に咲く花を求めて山に入っていたこともある。今はそこまでの気持ちも余裕もないが、せめて、この本で、渓谷でときより見かけた石清水の味を思い出してみたい。
Posted by わくわくなひと at 17:43│Comments(0)
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。