2010年10月23日

愚か、立派すぎない、完璧をめざさない、ふざける・・・祝婚歌

 愚か、立派すぎない、完璧をめざさない、ふざける・・・祝婚歌詩人の茨木のり子さんの文庫本エッセー『一本の茎の上に』ちくま文庫(2009年7月10日第1刷)を読んでいます。
 ときどきは詩人の書いた文章や詩を読んでみたくなります。いつもこんな気分でいると、俗人にやられてしまうご時世ですが・・・。福岡のジュンク堂書店に平積みされていましたので、それなりに茨木さんやだれかの詩をたまには読みたいという人たちも少なくないことと思います。
 昨夜、眠る前に半分ほど読みました。けっこう自分と同じ見方をされているのに驚きました。それはいずれ紹介するとして、今日は吉野弘という詩人の「祝婚歌」が紹介されていましたので、書き込みたくなりました。
 茨木さんによると、吉野さんの姪御さんが結婚なさる時、出席できなかった叔父として、実際にお祝いに贈られた詩です。その日の列席者に大きな感銘を与えたらしく、口コミで人びとの間にひろまっていったそうです。最近はじぶんの正当性ばかりを主張する人が増えている中、離婚調停にたずさわる女性弁護士が翻意を促すのに使ったり、ドイツのルクセンブルクに近いトリア市での結婚式で聖歌隊によって読まれ、出席した人に大きな感動を与えたということです。
 この詩の底には吉野家の歴史や、夫婦喧嘩の堆積が隠されていると、茨木さんは感じています。

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい





Posted by わくわくなひと at 15:46│Comments(2)
この記事へのコメント
これ!なんだかいいね。
Posted by あや3あや3 at 2011年03月25日 13:22
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
Posted by わくわくなひとわくわくなひと at 2011年03月26日 00:28
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