2010年09月12日

地方を衰退させた土建工学の実態を暴く!『地域再生の罠』

 地方を衰退させた土建工学の実態を暴く!『地域再生の罠』久繁哲之介『地域再生の罠 -なぜ市民と地方は豊かになれないのか?』ちくま新書(2010年7月10日第1刷)を読みました。
 知人から「具体的な町の事例を実名で批判した相当気合いが入った本」ということで教えてもらい、読みたくなりました。
 大型商業施設を誘致して失敗した町、成功していない成功事例集を模倣して失敗する商店街、間違いだらけの「地方自治と土建工学」が地方を衰退させていった事例などが具体的な実名をあげて書かれています。
 著者の考えによると、土建工学の先生が、地元の消費者のニーズなどにおかまいなく、自分の理想とするまちづくりを押しつけてきたことが失敗の大きな要因であるとしています。それと、メーカーなどと比較して消費者や市民のニーズ把握の仕方の幼稚さなどを指摘しています。
 私も、このことには10年以上前から気づいていました。
 10年以上前。私が、ある企画コンペでプレゼンしていた時、こんな質問を受けたことがあります。
「御社は、私たちの町を、どんな町にしようとお考えですか」
「それは、町の人たちと共に考えていくことではないですか。町の人の意見をしっかり聞いて、ご提案したいと思いますが、今の時点では白紙です。」と答えました。
 すると、その質問をした役所の人からにらまれました。
 当然、コンペでは負けました。そして、後で新聞かなんかで、「フランスのプロバンス地方のようなまちにする」という記事を読んだ記憶があります。
 たぶん、フランスの田舎のようなきれいなまちづくりを、コンサルタントの先生が提案されたことと思います。
 それから、10年以上経った今、その地域はどうなっているでしょうか。
 私もよくコンサルタントと人から呼ばれることがありますが、この名称は好みません。私は、自らをプランナーと名乗ることにしています。
 この本に書いてあるような事例をたくさん見てきたからです。それと、土建工学関係のコンサルタントの先生方々も近年は相当淘汰されてきているようです。もちろん優秀なまちづくりのプロの方々も、たくさんおられます。




Posted by わくわくなひと at 15:14│Comments(0)
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