2010年06月19日

新幹線が盛り上がらない熊本をレポート~地域流通経済研究所

 新幹線が盛り上がらない熊本をレポート~地域流通経済研究所肥後銀行系の財団法人地域流通経済研究所が毎月「ウインドウ」という冊子を発行しています。
 まったく読まないこともありますが、6月号は読みたいレポートが2つも載っていました。
 レポートは、①「新幹線に乗ろう!~“盛り上がらない”熊本での全線開業の迎え方~」、②「再び、域内循環色を強めだした熊本県!~熊本県の産業構造と課題(産業連関表からのアプローチ)~」です。

①のレポートは、「熊本県居住者にとっては「鉄道」や「新幹線」はあまり馴染みのないものであり、(現状での)利用率も低い」ことをデータや調査結果で示しています。例えばネットリサーチの結果によると、「1年以内に新幹線に乗った」人の割合は熊本県20.4%、福岡県38.8%、佐賀県23.8%、大分県25.7%、宮崎県6.8%、鹿児島県35.7%、広島県52.4%、大阪府36.4%、東京都51.5%、青森県48.1%です。

 けっこう熊本県では観光を中心とした取組みが盛んに行われていますが、次の視点は大事かなと思いました。
「しかし、新幹線の開業効果は観光だけではない。人の流れが変わり、地域間の交流が変わることによる影響は、極めて多岐にわたるものと思われる。ところが、観光客の増加以外に新幹線の開業によって我々の暮らしあるいは企業の経営はどんな影響があるのか、という点が、現状ほとんど見えてこないという印象を受ける」

 そうだと思います。新幹線という大量で高速で人が移動できる装置が出来上がることは、観光客が増えるということだけではないと思います。今の福岡を見渡すと、福岡弁だけでなく関西弁などいろんな方言を街の中で聞くことができますし、広島、大阪、東京の人たちと日常的に仕事のやりとりをしていますので、暮らしの風景や企業経営はそうとう変わるかも知れません。観光だけでない多方面の準備も必要なんでしょうね。

②のレポートに「九州7県の産業区分別構成比比較」のグラフが載っていました。
 各県の産業を域内循環型(商業、医療・保健、公務、金融・保険、建築、教育、通信、道路輸送、飲食店、娯楽サービスなど)、移出型(半導体素子・集積回路、耕種農業、建設・建築用金属製品、宿泊業など)、相互交流型(自動車部品、食料品製造、特殊産業機械、船舶、一般産業機械など)、県外依存型(情報サービス、物品賃貸サービス、広告、映像・文字情報操作など)を分けて、それらの構成比を比較したものです。
 福岡と熊本を比較すると、域内循環型は熊本68.9%、福岡50.9%。移出型は熊本8.8%、福岡26.3%。相互交流型は熊本19.3%、福岡22.1%となっています。
 熊本県は域内循環型の産業が7割を占めており、産業構造の面でも他県との交流がさほどないことがうかがえます。他県の人の交流は取引や仕事ではなく、研修や視察の時だけというビジネスマンも多いのではないでしょうか。

 新幹線は人が観光目的で熊本を訪れるとうことだけでなく、それ以外のインパクトと構造的な変化を熊本にもたらすのではないでしょうか。熊本の人にとって、よい面、よくない面も含めての話ですけど。




Posted by わくわくなひと at 14:54│Comments(0)
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