2010年05月12日

「わかる」とはどういうことか-認識の脳科学

 山鳥重『「わかる」とはどういうことか-認識の脳科学』ちくま新書(2002年4月20日第1刷、2007年3月25日第10刷)。
 実は一年以上前に読んだ本である。それから、この本の内容をまとめておきたいと思い、一部分メモをとったりしていたが、なかなかまとめることができなかった。
 しかし、ここでこの本と一区切りを付けておく必要がある。なぜなら、これから今野雅方『深く「読む」技術』を読み始めるからである。新たに「わかる」「わかりやすい」を探求する私の旅の支度のようなものである。
 「わかる」とは、どういうことなんだろう?ずいぶん昔から、このことが頭をよぎってきた。今でも、そのことを思わされる機会が案外と多い。
 例えば、ドラッカーの読書会。さまざまな人が同じ本の同じ箇所を読んで、読んだ感想を語る会である。参加するたびに、「そんなとらえ方があるんだ」「そんな視点でも読めるのか」と思ってしまう。同じところを読んでも伝わり方や感じ方が違う。だから、「わかる」っていうのは、どういうことなんだろうという思いに至る。
 セミナーなども同じ。同じ講師から同じ内容の話を聞く。そして、「この人。本当にセミナーで話を聞いていたのだろうか?」と思うことがある。逆に、「このことは講師が口を酸っぱくして言ってたじゃないですか」と同僚に叱られることもある。
 一口に「わかる」「わかった」というが、その内容は相当違うのである。

さて、この本の内容を一口で言うと、『われわれは、どんなときに「あ、わかった」「わけがわからない」「腑に落ちた!」などと感じるのだろうか。また「わかった」途端に快感が生じたりする。そのとき、脳ではなにが起こっているのか-脳の高次機能障害の臨床医である著者が、自身の経験(心像・知識・記憶)を総動員して、ヒトの認知のメカニズムを、きわめて平明に解き明かす刺激的な試み。』と書いてある。
『考えるというプロセスがなんらかの形で終結すると、わかった・わからないという比較的はっきりした心の変化を感じることが出来ます。わかる・わからないという感情が湧くのです。』。つまり、意識的、無意識的に考えていて、その作業が終わった時の感情の一つが「わかる」「わからない」ということらしい。
いろいろ面白いこと、驚くこと、発見がいっぱい書いてある本ですが、以下のことを書き残しておくだけでも、私の「わかる」への旅はもっと面白くなっていくと思います。

■「わかる」にもいろいろある
・全体像が「わかる」、整理すると「わかる」、筋が通ると「わかる」、空間関係が「わかる」、仕組みが「わかる」、規則に合えば「わかる」
・こんなに「わかる」がありますが、「この人は物語にしないとわからない」「この人は何でも規則に照らし合わせて考えている」など、どうも人によって「わかる」の好みがありそうな感じがしています。
■どんな時に「わかった」と思うのか
・直感的に「わかる」、まとまることで「わかる」、ルールを発見することで「わかる」、置き換えることで「わかる」
・これも人によって、よく直感を使ってそうな人、例え話を言わないとわからない人など、人によってクセがありそうですね。
■「わかる」ためにはなにが必要か
・「わからない」ことに気づく・・・これが「わかる」ための第一歩です。
・本当に「わかった」かどうかを確かめるには、行為(話す、文を書く、図や絵を描く)に移せるか、応用できるかを自分に問うてみる
「わかる」とはどういうことか-認識の脳科学



Posted by わくわくなひと at 20:50│Comments(0)
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