2010年03月14日

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

 加藤陽子さんという東大文学部の教授が書いた本である。
 表紙には、『普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか?高校生に語る-日本近現代史の最前線』と書いてある。
 2009年7月に初版第一刷、同12月に第十一刷。けっこう売れている。
 内容は日清、日露、第一次世界大戦、満州事変・日中戦争、太平洋戦争について、「自分が作戦計画の立案者であったなら」、「自分が満州移民として送り出される立場であったなら」と高校生に考えさせるための講義内容をまとめている。
 後世、人々の思いや行動の結果が分かっている立場で、その時の人々を「何と愚かなことをしたことか」と指弾したり、嘆くような内容ではない。かといって戦争を肯定したり、日本人の行動を一方的に美化するような内容でもない。
 「なぜ日本は300万人の犠牲者を出すような戦争を始めたのか」という根源的な問いの話、多くの人が意志決定に際し、過去の人々の行動をけっこう参考にしている事例など、歴史が単なる暗記科目ではなく、その人が人生を送っていく際に非常に重要な知識であることを教えてくれる本だと思った。
 今年に入り、かつての史学科の同級生とお酒を飲む機会があった。同級生の四分の一程度は高校や大学の教師になっている。その時も、日本の戦争をどう教えるのかということがけっこう話題になる。
 人々の認識が暗記科目から重要な科目へと変わる日が、いつか来るかも知れないと、この本を読んで、そう思ってしまった。
それでも、日本人は「戦争」を選んだ



Posted by わくわくなひと at 15:57│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。