2010年03月05日

本の編集の実験?松本清張・向田邦子『駅路/最後の自画像』

『駅路/最後の自画像』新潮社(2009年12月20日)。本や編集をテーマとした、これまでにない実験のような印象を受けた。
 著者は松本清張と向田邦子。少し齢を重ねた人なら、どちらもご存じのはずである。
 松本清張の本は少し読んだことがある。向田邦子脚本のテレビドラマも意識はしていないが、たぶん数多く見ているはずである。
 この本は二人の有名作家がコラボしたできあがった本である。と言っても、二人とも亡くなっている。二人の作品が一冊に収められ、この名作品をテレビのプロデューサーと新潮社?の編集者が解説している。
 ちょうど映画の封切り時に売られている解説書みたいな本である。いろんな人が作品を語る。いろんな視点で一つの作品が見られるので、案外面白い。この本もそんなおもむきである。
 松本清張が『駅路』を書き、向田邦子がそれをもとに脚本『最後の自画像』を書き、テレビドラマとして放映された。あらすじや表現、描写、登場人物の違いがよくわかる。
 先週、東京で仕事だったので飛行機の中で往路に1回、帰路に1回、計2回読んだ。1回目は素読、2回目は、どこがどう違うのかを味わうことができた。
 テーマは「ゴーガンが言ったじゃないか。人間は絶えず子供の犠牲になる、それを繰り返していく、とね。それでどこに新しい芸術が出来、どこに創造があるかと彼は言うのだが、芸術の世界は別として、普通の人間にも平凡な永い人生を歩き、或る駅路に到着したとき、今まで耐え忍んだ人生を、ここらで解放してもらいたい、気儘な旅に出直したいということにならないかね。」だと思う。
 松本さんの表現や描写より、向田さんのそれが艶めかしかったですね。男と女の違いでしょうか。
本の編集の実験?松本清張・向田邦子『駅路/最後の自画像』



Posted by わくわくなひと at 15:02│Comments(0)
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