2010年01月31日

幸田文の『おとうと』と映画の『おとうと』

 太い川がながれている。川に沿って葉桜の土手が長く道をのべている。こまかい雨が川面にも桜の葉にも土手の砂利にも音なくふりかかっている。ときどき川のほうから微かに風を吹き上げてくるので、雨と葉っぱは煽られて斜になるが、すぐまたまっすぐになる。ずっと見通す土手は点々とからかさ洋傘(こうもり)が続いて、みな向こうむきに歩く。朝はまだ早く、通学の学生と勤め人が村から町へ向けて出かけていくのである。

 中村明さんの『名文』にとりあげてあった幸田文『おとうと』の文章の一部です。
映画のように場面が浮かんでくる文章と観察眼に憧れ、この本を読んでみたいと思っていました。もちろん自然描写だけでなく、中身がありそうな小説らしい。
そしたら、この小説を原作に市川監督が相当前に映画化し、それを山田洋次監督が敬意を払い今度、映画化したんですね。たぶん、スピルバーグも、この文章を読めば映画で表現すると思います。
二三日前から封切りされました。吉永小百合さんが姉役、弟が鶴瓶さん。吉永さん、いくつになってもきれいですね。
最近、なかなか映画のために時間をさく勇気がありませんが、行こうかな。それとも、『おとうと』を読んでみるか。山田監督はいつも期待に応えてくれるし・・・。
幸田文の『おとうと』と映画の『おとうと』



Posted by わくわくなひと at 14:35│Comments(0)
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