「BRUTUS」 世の中変わるときに読む263冊は凄い

わくわくなひと

2012年01月04日 18:07

 大きな書店ではなく小さな書店に立ち寄った。目的意識も何もなく、何となく。
 そんな時にふと出会う雑誌や本もある。今月(23年12月)の「BRUTUS」もその一つ。
 まず表紙のスティーブ・ジョブズに目がいった。そして「2012年、世の中が変わるときに読む263冊」というタイトルにグッときた。
 「世の中が大きく変わっている」「どうなるのだろう?」。そんな思いを持つ人にヒットするタイトルだ。「BRUTUS」という雑誌と気づいたのは、おそらく二十ページくらい読んだ後。「BRUTUS」の活字自体は大きいが、さきほどの「世の中が・・・」が目立つように上書きされており、故意にしてあるのか目立たない。たまに「BRUTUS」を読んでいたのは、三〇年くらい前だろうか。
 中身、つまり263冊の内容がよかったというよりも凄かった。決してやっつけ仕事や、かっこつけた編集仕事ではなく、芯から考えた内容だと思った。出来上がるまで何ヵ月かけたのだろうか。
 少なくとも今月に関して“もう本は買うまい”と思っていたが、そういうわけにはいかなくなった。
 263冊のうち欲しくなった本は、以下の通り。◎は買わずにはおられない本。

■東浩紀『動物化するポストモダン』講談社現代新書、735円
・ポピュラーカルチャーを中心に現代の日本社会を考えるときの一つの道標として

◎■加藤典洋『さよなら、ゴジラたち』岩波書店、1,995円
・戦後という時間の呪縛から日本人がどうしていつまでも逃れなれないか・・・

◎■國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版、1,890円
・何をしてもいいのに、何もすることがない。だから没頭したい、打ち込みたい・・・スピノザ研究を専門とする哲学者が語りかける「本当に大切なこと」。

◎■古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』講談社、1,890円
・ワールドカップで深夜、渋谷で騒ぐ若者たち。ネット右翼の主催するデモに集まる若者たち。そして震災後、ボランティアや募金に立ち上がる若者たち。26歳の社会学者が「幸せ」な若者の正体を徹底的に考える。

◎■山本七平『空気の研究』文春文庫、490円
・負け戦と知りつつ戦争に邁進した日本軍部の分析を通じて、近代日本に蔓延する「空気」という状況倫理を徹底研究。

◎■ちきりん『自分の頭で考えよう』ダイヤモンド社、1,470円
・混同しがちな「思考」と「知識」との違いを解説し、持っている「知識」を「思考」へとつなげるプロセスを、豊富な事例を交えながら紹介。

◎■苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社+α文庫、924円
・常識にとらわれた単眼思考では「自分の頭で考える」ことはできない。ものごとを多角的に捉え、考え抜くための具体的手法。

◎■ロアルド・ダール『あなたに似た人』ハヤカワ・ミステリ文庫、987円
・人間の浅ましさや内に潜む狂気をあぶり出す15篇。

◎■『こどもの発想。』アスペクト、1,050円
・小学生を対象にした『コロコロコミック』の人気投稿枠が書籍化。

◎川崎洋編『にんげんぴかぴか こどもの詩2』
・“オムツの中身が光ってきれい”と書いた小学1年生の詩「オムツの中」など136編を収録。「考え方のさびが落ちた」という選者の言葉に同意。