九州新幹線の利用意向4割は“微妙”ではなく好結果では?

わくわくなひと

2010年09月30日 22:01

 今日30日付けの西日本新聞に、熊本出張ビジネス客を対象とした、九州新幹線全線開通後の新幹線利用意向に関する調査結果が載っていた。肥後銀行系のシンクタンク「地域流通経済研究所」が7月から8月にかけ、熊本市のホテルに宿泊したビジネス客2500人に調査票を配布、約300人から回答を得た。有効回答率は低率であり、サンプル数も300人程度、「まあ参考データとして」結果は受け止めたい。

 この記事によると、「全線開通後、熊本に出張する人の九州新幹線の利用は微妙?」「乗る、乗らぬ ともに4割」

 この結果を見て“利用は微妙”と判断しているところが気になった。
 熊本への交通手段として、九州新幹線は今までにないサービス。まだ誰も経験していないサービスである。商品開発の世界では、たまに世の中にない商品を市場に出す時があるが、市場に出す前に、4割が「利用する」と消費者が回答した場合はかなり高いスコアである。こういうデータが得られた場合は、「ヒット商品間違いなし」と判断することが多い。もっとも、メーカーのマーケティングではもう少し詳しい選択肢(最低5段階のSDスケール)を示し、「ぜひ利用したい」のスコアがどの程度かを重視する。
 個人的には“利用は微妙”ではなく、相当な新規需要を開拓することを示すデータだと思った。
 某大手シンクタンクの方から、「新幹線が開通する前に、だれが移動時間を縮めるために高い料金を払って利用するかという話が必ず出てくる。しかし、新幹線による利便性は人の意識を短期間に変えてしまうよ」と言われたことがあった。
 実は、「利用しない」という4割の人の意識と行動が、どのくらいの期間で変化していくかという方に、むしろ興味を持った。

 全線開通後、日帰りと宿泊を伴う出張が増えるかどうか尋ねたところ、いずれも「変わらない」との答えが70~80%台を占めており、同研究所は「新幹線の全線開通後、宿泊から日帰りへのシフトが起きるとは言い切れない」とした。

 熊本市内での宿泊客が減るのではないかという視点からのコメントだろうと思う。企業の戦略や戦術次第と思われるが、こんな企業も出てきそうと思った。

熊本にビジネスマンを出張させている企業の中には現時点では営業エリアを熊本市周辺に限定している。しかし、新幹線全通後は新たな時間的余裕が出てくるため、営業エリアの拡大や、さらにきめ細かい営業活動を行い、熊本県内の市場占有率を高めようとする企業も出てきて、競争が激化する。