~『残光』『名文』『知の編集術』「陰山手帳2010」をゲット!~
12日付け西日本新聞のコラム「春秋」に目が止まった。「キネマ旬報」が「映画史上ベストテン」を発表し、1953年製作の「東京物語」が1位になったそうである。
小津安二郎監督の有名な映画であり、笠智衆らが扮する老夫婦の物語。確かにコラム氏が言うように「枯れた映像のなかで家族の変容が物悲しく語られる」、しみじみと静かな気持ちになる映画だった。
コラムの中では、中澤千麿夫が書いた『小津安二郎 生きる哀しみ』(PHP新書)のことにもふれてあった。
以前、書店で見かけ、買うか買うまいか躊躇した本であり、やはり買うことを決めた。
今の私は、“じいちゃん本”ブームである。私はじいちゃんではないが、20年もすればそうなってしまう。人生を振り返るのにもまだ早すぎるが、どうやら私の興味の射程に入ってきた。
そう言えば、熊本の長崎書店の方が紹介していた小嶋信夫著『残光』、90歳の作家の遺作も買いたいと思った。1週間ほど前、同書店を訪ね『残光』を探したが、実は小嶋信夫という名前が思い出せず新潮文庫の書棚の中から見つけ出すことができなかった。書名ではなく作家の名字の五十音順に本が並べられているから、作家の名前が分からないと難儀してしまう。書店の方に聞けば手に入ったのだろうが、そこまではしなかった。
午後、テレビで「坂の上の雲」の再放送をみた後、天神の丸善に出向いた。すぐ『残光』は見つかった。長崎書店の方には悪いと思いながら、確か“きれいな文章”?と紹介されていたことも思い出した。そう言えば、枯れた老人のきれいな文章を読んでみたいと思ったから、買いたくなったわけである。
“きれいな文章”という言葉が頭に浮かんだ後、ちくま学芸文庫の棚を覗いていると、中村明『名文』を手に取っていた。これも購入。
『小津安二郎 生きる哀しみ』は、PHP新書だから「丸善にないはずはない」と思ったが、三度書棚を見たが見つけることができなかった。いつか機会は訪れる。
丸善では「感じること」「考えること」などテーマに沿って編集された本棚も用意されていた。そこには、アマゾンで購入したばかりのジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』も並んでいた。この近くに並べてあった松岡正剛『知の編集術 発想・思考を生み出す技法』も購入することにした。
松岡の本を買う気持ちになったのは、茂木健一郎の『かつて、情報という概念の本質について議論した時、松岡正剛は、「現代人は情報が横から来ると思っているけれども、昔の人は上から降ってくると思っていた」と言った。ここで「上から」とは、文字通り空間的な上方に由来するという意味ではない。この現実世界の中を流通して「私」にやってくるのではなく、自分の無意識の中から生成される何か、という意味である。』が気になっていたからである。
この後、マーケティングや経営関係のコーナーも行ったが、大半は「はい、はい、分かりました。あなた方は偉い!」と、つい思ってしまった。なぜだか今はそう思ってしまう。
何となく三冊薄手の本を購入してしまったが、私にはもう一つ目的があった。3階の特設された手帳コーナーに向かった。
いろいろ迷ったが、来年は陰山英男という人の「陰山手帳2010」で行くことにした。陰山さんは有名な人らしいが私は知らない。
皮のような外装にステッチが施されているところ、トラッドな雰囲気が気に入った。月ごとに10種類のプロジェクトの進捗管理ができるようになっている。毎月10前後の仕事は同時進行が当たり前だし、使えるのではないか。発想やアイデアを書き留めたり整理するのに都合がよい5㎜幅方眼のページも、週間カレンダーの右側に編集されている。
A5サイズは私には小さすぎる。備忘録的なA4サイズの資料を常に手帳に挟む癖があるからだが、半分に折ればちょうど収まるので、“これでよし!”とした。
来年は、この手帳に夢を描き、それを実現していくためのスケジュールや重要事項を書き留めていく。夢は自分の想像よりも、もっと面白く大きいものとなって実現していくに違いない。